山形県米沢市南原地区で長年続いてきた悪臭問題が、解決に向けて動き出した。2か所の発生源のうち、堆肥製造業者は5月以降、飼料保管場に転換する方針。
養豚業者も山間部への豚舎移転を検討し始めた。新豚舎については市も協力し、食育や観光の拠点として活用する構想も浮上している。
■15年前に問題化
悪臭の発生は、養豚業者が移転してきた1986年頃に始まり、近くに堆肥製造業者が進出した99年以降に問題化した。2008年には近くの最上川やJR奥羽線に沿って臭いが拡散、10キロ以上離れた市中心部の住民からも苦情が寄せられるようになり、市議会に「悪臭問題特別委員会」が設置される事態となった。
市や県の指導の下、業者側が脱臭装置の設置や清掃の徹底に努めた結果、苦情の件数はピークだった09年度の723件から10年度493件、11年度337件と徐々に減少。12年に堆肥製造業者が原料となる家畜の汚物などの搬入を停止、養豚業者も飼育頭数を半分近く減らしたため、13年度は92件と大きく改善した。
市によると、堆肥製造業者は5月に切れる産廃処分業者の免許更新を行わず、飼料保管場とするため、約1万3000立方メートルの堆肥を順次運び出す。養豚業者も市内の別の場所に豚舎を新設する予定で、市の協力も得て中山間地の数か所をリストアップし、移転に向けた準備を進めている。
悪臭問題を訴えてきた南原地区自然環境保全推進協議会の渡部淳(ただし)会長は「堆肥が全て搬出され、養豚場の移転先が決まるまでは安心できないが、一定の方向性は見えてきた」と話す。
■市外移転は困る
市が業者の市内移転を支援するのは、株式の49%を保有する米沢食肉公社の収益に影響するからだ。市農林課によると、公社の主な収入源は牛や豚などの解体手数料。13年度は3万2214頭のうち、豚は約9割の2万8347頭に上り、手数料収入約1億2500万円の7割を占めた。
この養豚業者は08年まで公社で年約6500頭を解体していたが、悪臭が問題化してから飼育頭数を減らしたため、現在の解体数は約2000頭にとどまる。手数料は1頭当たり約3000円のため、公社にとって年約1350万円の減収になっている計算だ。
市関係者は「市内の別の場所に新しい豚舎を設置し、以前の水準まで飼育頭数を増やしてもらいたい」と本音を打ち明ける。
■交流拠点に活用
養豚業者の社長は、移転後の新しい豚舎について、「豚を見学するスペースを作り、小学生を受け入れるなどして、食育に貢献することを考えている。市内の飼料用米を餌として購入したり、豚のふんを堆肥にして周辺の農家に提供したりするプランもある」と構想を語る。
市農林課の高橋伸一課長も「畜産振興という視点だけでなく、過疎化が進む中山間地の交流人口を増やすため、豚とふれあう場を作って子どもたちに来てもらったり、ブランド豚の直売施設を設けたりするなど、観光資源として活用することも周辺住民と考えていきたい」と話している。
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デンソーは3日、運転手のまぶたや顔の動きを赤外線カメラで検知し、居眠りや脇見を防ぐシステムを開発したと発表した。
赤外線を使うことでサングラスの着用時や夜間でも顔の動きを認識できるのが特長で、日野自動車が2月以降に発売した新型トラックや観光バスに採用されている。
カメラで運転手の顔を撮影しながらコンピューターで解析し、数秒間、横を向いたり、目を閉じたりし続けていると、警告音を鳴らして注意を促す。多くの人の顔のパターンを覚えさせているため、輪郭や目鼻の形の違いに影響されずに検知できるという。
自動運転技術への関心が高まる中、自動車メーカーはカメラやレーダーを活用して交通事故を防ぐ技術の開発に積極的だ。トヨタ自動車も既に同様のシステムを開発しており、高級車ブランド「レクサス」などに採用している。
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「予備軍」自分で採血
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厚生労働省は今月、利用者が自分で採取した血液を使い、薬局などで安価に糖尿病の簡易検査を受ける事業に検査業者が参入しやすくなるよう、届け出の規制を緩和した。予備軍を含め2000万人以上に上る糖尿病患者の早期発見につなげるのが狙い。
現在、薬局や通販で糖尿病検査キットが数千円で販売されており、糖尿病患者らが利用しているが、同省が業者の増加を期待するのは、「予備軍」を対象とした簡易検査事業。
この検査では薬局などの窓口を訪れた利用者が、自分で指先に針を刺して血液を採る。専用の解析装置を使って、糖尿病の指標となる血糖値やヘモグロビンA1cをチェックし、約10分でリスク判定を受ける。この際、薬局の薬剤師から、健康相談を含めたアドバイスも得られるようにする。検査業者が駅前やスーパーに出店を開いて簡易検査を行い、派遣した看護師が相談に応じる方式も広がりそうだ。脂質異常症や肝機能障害の検査も可能で、費用はいずれも1検査当たり500円から1000円程度。
この事業に参入するには、これまで自治体ごとに届け出や登録費用約8万円が必要だったが、今月から、手続きが簡素化され、国への申請だけで全国展開が可能になった。同省は「健康意識を高めて予防を徹底してほしい」と話している。
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カネボウ化粧品(東京)の美白化粧品を使って肌に白斑が残ったとして、静岡、山梨両県の30~70歳代の男女14人が2日、同社に対し、製造物責任法に基づき計7000万円の損害賠償を求める訴訟を静岡地裁に起こした。
弁護団によると、白斑被害での集団提訴は、全国で初めてという。
訴状などによると、原告らは2010~13年、美白成分「ロドデノール」が配合された同社の化粧水や乳液などを使い、顔や首回りなどの肌がまだらに白くなる症状が出たという。商品は人の肌に対する安全性を欠いているとして、1人当たり500万円の損害賠償を求めている。弁護団によると「ほかにも30人ほどから被害相談を受けている」といい、今後、追加提訴の可能性も検討している。
学校給食を食べた後にじんましんや息切れ、強い腹痛などアナフィラキシーショックとみられる症状が出た小中学生は、過去5年間で山形県内の市町村教委が把握しているだけで15人に上ることが、読売新聞の調べで分かった。
最悪の場合、死に至ることもあるため、県教委は近く、食物アレルギーへの対応状況を調査する方針だ。
35市町村の教委や給食センターなどに食物アレルギーへの対応について電話で聞き取り調査を実施。米沢市を除く34市町村から回答を得た。その結果、2009~13年度に6市町村の小中学校で発症者が確認された。村山地方の小学校では昨年夏、食物アレルギーのある児童が給食を食べた後、運動中に発作を起こして救急搬送された。
アナフィラキシーショックに対応するため、症状を和らげる自己注射薬「エピペン」を学校に持ってきている児童・生徒は17市町で35人に上った。文部科学省は08年に示した運用指針で、緊急時には教職員が児童・生徒に代わってエピペンを打つことを促している。
県教委も昨年3月、食物アレルギーへの対応などを例示した「学校における危機管理の手引き・学校保健編」「同・学校給食編」を作成、小中学校や高校などに配布した。各校に除去食・代替食の提供などに関する危機管理マニュアルの作成を求めており、1学期中に取り組み状況を調べる。
手引きには、除去食・代替食を提供する場合の注意点として、▽給食室で学級担任が調理従事者から直接受け取り、学年組、氏名、献立名、除去内容を確認する▽学級担任はアレルギー除去食が確実に配膳されているか確認し、給食当番が誤って原因物質を配膳していないか留意する――などを明記している。
県教委スポーツ保健課は「誤って食べてしまう事態を防ぐため、専用の容器を準備するなど、学校ごとに対策を取ることが重要だ」としている。
◆現場理解進まず
学校給食における食物アレルギーの問題が大きな関心を集めるようになったのは、12年12月に東京都調布市の小学5年の女児が給食を食べた後、アナフィラキシーショックの症状が出て死亡する事故が起きたことがきっかけだ。
しかし、県内では昨年10月、山形市の小学校長がエピペンを携行する児童の保護者に対し、学校側の対応で後遺症などが生じた場合、責任を問わないとする内容の念書を取っていたことが明らかになった。市教委は「不適切だった」と謝罪したが、学校現場で理解が進んでいるとは言い難い。
村山地方のベテラン教諭は「調布の事故が起きるまで、食物アレルギーの知識が十分でなく、アナフィラキシーショックという言葉も知らなかった」と打ち明ける。置賜地方の養護教諭は「学校でエピペンを見たことはないが、いざという時に使えるようにしておく必要を感じる」と話した。
◆除去食・代替食791人
今回の調査では、学校給食で除去食・代替食の提供を受ける児童・生徒が、少なくとも791人に上ることも分かった。全体の約1%にあたるが、実際はさらに多い可能性がある。
県内の小学校291校、中学校110校のうち、小学生は151校560人、中学生は54校231人で、31市町村で提供していた。
一方、弁当を持参している児童・生徒も35人いた。また、学校側が配布した給食の献立表を基に、保護者や児童・生徒がアレルギーを引き起こす食材を事前に把握し、給食時に自ら取り除いているケースもあるという。
◆学校と家庭情報共有を
森山達哉・近畿大准教授(食物アレルギー学)の話「除去食などを提供する自治体は、人材がいない場合は無理に行わず、保護者に献立表を渡したり、弁当で対応してもらったりする方が良い。一方で、専門的な診断を受ければ、実は食べられる食材だったということもある。過剰な除去は、栄養バランスを崩すことになるので、学校や保護者が正しい知識を得て、情報を共有することが大事だ」
【除去食・代替食】 アレルギー源となる卵や小麦などを使わない食事。アレルギー症状が出る食品を抜いて作るのが除去食。魚の団子を肉団子にするなど、代わりの食材を使って同じ料理の形態にするのが代替食。県内の学校給食では併用して対応するケースが多い。
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