学校給食を食べた後にじんましんや息切れ、強い腹痛などアナフィラキシーショックとみられる症状が出た小中学生は、過去5年間で山形県内の市町村教委が把握しているだけで15人に上ることが、読売新聞の調べで分かった。
最悪の場合、死に至ることもあるため、県教委は近く、食物アレルギーへの対応状況を調査する方針だ。
35市町村の教委や給食センターなどに食物アレルギーへの対応について電話で聞き取り調査を実施。米沢市を除く34市町村から回答を得た。その結果、2009~13年度に6市町村の小中学校で発症者が確認された。村山地方の小学校では昨年夏、食物アレルギーのある児童が給食を食べた後、運動中に発作を起こして救急搬送された。
アナフィラキシーショックに対応するため、症状を和らげる自己注射薬「エピペン」を学校に持ってきている児童・生徒は17市町で35人に上った。文部科学省は08年に示した運用指針で、緊急時には教職員が児童・生徒に代わってエピペンを打つことを促している。
県教委も昨年3月、食物アレルギーへの対応などを例示した「学校における危機管理の手引き・学校保健編」「同・学校給食編」を作成、小中学校や高校などに配布した。各校に除去食・代替食の提供などに関する危機管理マニュアルの作成を求めており、1学期中に取り組み状況を調べる。
手引きには、除去食・代替食を提供する場合の注意点として、▽給食室で学級担任が調理従事者から直接受け取り、学年組、氏名、献立名、除去内容を確認する▽学級担任はアレルギー除去食が確実に配膳されているか確認し、給食当番が誤って原因物質を配膳していないか留意する――などを明記している。
県教委スポーツ保健課は「誤って食べてしまう事態を防ぐため、専用の容器を準備するなど、学校ごとに対策を取ることが重要だ」としている。
◆現場理解進まず
学校給食における食物アレルギーの問題が大きな関心を集めるようになったのは、12年12月に東京都調布市の小学5年の女児が給食を食べた後、アナフィラキシーショックの症状が出て死亡する事故が起きたことがきっかけだ。
しかし、県内では昨年10月、山形市の小学校長がエピペンを携行する児童の保護者に対し、学校側の対応で後遺症などが生じた場合、責任を問わないとする内容の念書を取っていたことが明らかになった。市教委は「不適切だった」と謝罪したが、学校現場で理解が進んでいるとは言い難い。
村山地方のベテラン教諭は「調布の事故が起きるまで、食物アレルギーの知識が十分でなく、アナフィラキシーショックという言葉も知らなかった」と打ち明ける。置賜地方の養護教諭は「学校でエピペンを見たことはないが、いざという時に使えるようにしておく必要を感じる」と話した。
◆除去食・代替食791人
今回の調査では、学校給食で除去食・代替食の提供を受ける児童・生徒が、少なくとも791人に上ることも分かった。全体の約1%にあたるが、実際はさらに多い可能性がある。
県内の小学校291校、中学校110校のうち、小学生は151校560人、中学生は54校231人で、31市町村で提供していた。
一方、弁当を持参している児童・生徒も35人いた。また、学校側が配布した給食の献立表を基に、保護者や児童・生徒がアレルギーを引き起こす食材を事前に把握し、給食時に自ら取り除いているケースもあるという。
◆学校と家庭情報共有を
森山達哉・近畿大准教授(食物アレルギー学)の話「除去食などを提供する自治体は、人材がいない場合は無理に行わず、保護者に献立表を渡したり、弁当で対応してもらったりする方が良い。一方で、専門的な診断を受ければ、実は食べられる食材だったということもある。過剰な除去は、栄養バランスを崩すことになるので、学校や保護者が正しい知識を得て、情報を共有することが大事だ」
【除去食・代替食】 アレルギー源となる卵や小麦などを使わない食事。アレルギー症状が出る食品を抜いて作るのが除去食。魚の団子を肉団子にするなど、代わりの食材を使って同じ料理の形態にするのが代替食。県内の学校給食では併用して対応するケースが多い。
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