在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)中央本部(東京都千代田区)の土地建物の再入札で、東京地裁は23日、50億1000万円で落札したモンゴル企業「アヴァール リミテッド ライアビリティ カンパニー」への売却を許可しない決定を出した。不服申し立てがなければ決定が確定し、3度目の入札が行われる見通し。
昨年10月22日に決定する予定だったが延期されていた。決定によると、同社の提出書類にカラーコピーとみられる形跡があったため、地裁が在日モンゴル大使館に確認したところ、「モンゴルの公式な国家機関によって作成された文書ではない」と、今月3日付で回答があったという。
民事執行法では、競売を申し立てられた側が落札したと認められる場合も不許可になると定められている。決定は同社と朝鮮総連との関係について触れていないが、モンゴルの税務当局によると、同社は昨年1月の設立以降、税金を払っておらず活動実態がないという。
サム・バーンズ君の人生は、ありえそうもない話だ。彼は世界でおよそ250人しか発症していない急速な早期老化の病気、プロジェリア症候群(ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群、通称プロジェリア)を持って生まれた。
さらにありえないことに、彼の両親ともが医療のメッカであるボストンで知名度の高い小児科医だった。彼らは息子の病因究明に必死になった。
「ここでのキーワードは“ありえないこと”だ」と、プロジェリア・リサーチ・ファンデーション(Progeria Research Foundation: PRF)の理事会メンバー、ジョン・セン氏は語る。「約400万人に1人の子供がこの病気を持って生まれるが、サムの場合、偶然にも医者である母レスリー・ゴードンと父スコット・バーンズの下に生まれた」。
サム君は1月17日、17歳の若さで亡くなった。プロジェリア患者の平均寿命が13歳であることを考慮すると、比較的長い人生だった。アメリカのケーブルテレビ放送局HBOによるドキュメンタリー番組「Life According to Sam」によると、彼は生前、レゴを使って街を組み立てた。中学校を卒業後、高校のマーチングバンドで演奏、ダンスパーティーにも参加した。そして将来は発明家になるためにマサチューセッツ工科大学へ行くことを夢見ていた。
彼がプロジェリアと診断された時、ほとんど誰もその病名を知らなかったが、番組によって彼はその病気の「顔」となった。今日では、世界中の人々がプロジェリア小児患者の典型的な外見を認識している。それは、細くてしわのある顔、頭髪・眉毛・まつげの欠如、低い身長、小さい顎などの特徴だ。
「南アメリカの最も僻地にいる複数の小児科医から、そのような特徴を持つ子供たちを診たという報告を受けた」とセン氏は話す。かつては親や医師たちにとってまったくの謎だった子供たちが、現在では世界中で正確な診断を受けている。
プロジェリアを発症した子供たちは、多くの高齢患者に見られる股関節脱臼や関節のこわばりなどの症状に苦しんでいる。しかしながら、早期老化が深刻かつ進行性の心血管疾患をもたらし、それが心臓発作や脳卒中につながることから、プロジェリアは致命的な病気であるといえる。
サム・バーンズ君は、彼の両親が創設したPRFによる研究試験に参加した28人の小児患者の1人だった。その研究は早老症に初めて治療の道を開いたが、アメリカで認可を受けるためには、食品医薬品局(FDA)による追加的な臨床試験が必要とされる。
サム君の存命中、アメリカ国立ヒトゲノム研究所(NHGRI)はPRFの研究者たちと協力し、2003年、ラミンAと呼ばれる単一遺伝子の異常によってこの病気が引き起こされることを発見した。ラミンAの異常は細胞の核膜を不安定にし、心血管、骨格、筋肉のシステムに害を及ぼす。
アメリカ国立衛生研究所(NIH)の所長で、その遺伝子を発見したフランシス・コリンズ氏によると、その発見はプロジェリアと戦う子供たちや家族に希望を与えるだけでなく、正常な老化や心血管疾患の研究にも役立つだろう。すべての人間はプロジェリア症候群を引き起こすタンパク質、「プロジェリン」を持っているが、その量は健常者のほうがはるかに少ない。健常者の体内では、プロジェリンが加齢と共に蓄積されていく。つまり、その秘密を解き明かすことは、正常な老化へのより良い理解へとつながる。
サム・バーンズ君は出産時、いたって健康に見えた。しかし1年も経たないうちに、両親は何かがおかしいと疑うようになった。そして22カ月の時、プロジェリア症候群と診断された。遺伝学上の様々な発見のおかげで、今日では確定診断テストが早期診断を可能にしている。
今のところFDAに認可された抗プロジェリア薬品や、臨床試験以外での治療法は存在しない。しかし、「Proceedings of the National Academy of Sciences」に発表された論文の中でサムの母親レスリー・ゴードン氏は、癌治療に利用される薬「ロナファルニブ」が、プロジェリア小児患者の血管硬化や骨構造を改善したと説明した。もし、さらなる臨床試験が「ロナファルニブ」の有効性を証明すれば、初の実用的な治療法となるだろう。
治療法の発見は、残念ながらサム君には間に合わなかった。しかし、彼の短くも輝かしい人生は、両親と共に病気の研究と理解のために費やされた。
「サムは自らの才能、人としての成熟度、そして使命を持って生まれたことを自覚していた。プロジェリア症候群に対する人々の意識を高めただけでなく、たとえ病気を持って生まれても彼のように生きることができると示してくれた」とセン氏は語る。
島根県は21日、竹島を日本領と示した江戸時代後期の地図5点を確認したと発表した。そのうち「蝦夷風俗人情之沙汰付図(えぞふうぞくにんじょうのさたふず)全図」(1790年)と「蝦夷草紙(えぞそうし)全図」(同)の2点は、江戸幕府が関与。県は、幕府の要職も竹島を日本領と認識していたことを裏付けるものとみている。
島根県によると、この2点は同じ内容で、幕府の蝦夷地調査隊で測量助手を務めた最上徳内がまとめた。経世家の本多利明が序文を書いたうえで、幕府老中の松平定信に献呈されたといい、紀州徳川家の蔵書印がある。日本領が赤茶色に彩色され、隠岐諸島の上方にある現在の竹島も同色だ。
島根県は昨年8月、竹島を初めて記したとみられる1760年代の地図を確認したが、地理学者の作だった。今回は幕府の要職がお墨付きを与えた地図で、島根県竹島問題研究会座長の下條正男・拓殖大学教授(日本史)は「日本が国家として竹島を日本領と認識していた証しで、大きな意義がある」と話している。
長野県建設業厚生年金基金(長野市)で約24億円の使途不明金が生じた横領事件で、このうち計約1億9400万円を着服したとして業務上横領罪に問われている元事務長、坂本芳信被告(56)の初公判が21日、長野地裁(伊東顕裁判官)であった。坂本被告は「(起訴内容に間違いは)ございません」と起訴内容を認めた。
検察側は冒頭陳述で、「遊興費に充てるために着服しようと考えた」と指摘。横領した現金は、ブランド品の購入▽自身が関与したクラブの運転資金▽交際女性に提供▽東京のクラブでの飲食費▽海外旅行--に使ったとした。タイには2010年9月10日に逃亡したという。
検察側は、坂本被告が24億円の着服を認めた供述調書を証拠として提出した。坂本被告は、うつむき加減で冒頭陳述を聞いていた。
起訴状によると、坂本被告は基金の事務長兼出納員として預金管理や運用委託先への送金などを担当。10年7月、基金の銀行口座から約1億3000万円を引き出し、うち約6400万円を着服。同年5、6月にも同じ口座から2回にわたり計約2億6600万円を引き出し、うち計約1億3000万円を着服したとされる。
坂本被告は昨年11月、逃亡先のタイの首都バンコクで地元入管当局に不法滞在容疑で逮捕された。身柄引き渡しを受けた長野県警はこれまで、業務上横領容疑で計3回逮捕するなど捜査を続けている。