長野県建設業厚生年金基金(長野市)で約24億円の使途不明金が生じた横領事件で、このうち計約1億9400万円を着服したとして業務上横領罪に問われている元事務長、坂本芳信被告(56)の初公判が21日、長野地裁(伊東顕裁判官)であった。坂本被告は「(起訴内容に間違いは)ございません」と起訴内容を認めた。
検察側は冒頭陳述で、「遊興費に充てるために着服しようと考えた」と指摘。横領した現金は、ブランド品の購入▽自身が関与したクラブの運転資金▽交際女性に提供▽東京のクラブでの飲食費▽海外旅行--に使ったとした。タイには2010年9月10日に逃亡したという。
検察側は、坂本被告が24億円の着服を認めた供述調書を証拠として提出した。坂本被告は、うつむき加減で冒頭陳述を聞いていた。
起訴状によると、坂本被告は基金の事務長兼出納員として預金管理や運用委託先への送金などを担当。10年7月、基金の銀行口座から約1億3000万円を引き出し、うち約6400万円を着服。同年5、6月にも同じ口座から2回にわたり計約2億6600万円を引き出し、うち計約1億3000万円を着服したとされる。
坂本被告は昨年11月、逃亡先のタイの首都バンコクで地元入管当局に不法滞在容疑で逮捕された。身柄引き渡しを受けた長野県警はこれまで、業務上横領容疑で計3回逮捕するなど捜査を続けている。