名古屋市内ではしか(麻疹)が流行し、今年に入ってからの患者数は、3月末までの時点では過去5年で最多となっている。
すでに昨年1年間の報告数を上回っており、市は、予防接種による感染予防を呼びかけている。
市健康福祉局によると、3月31日までの患者の報告数は8人。同じ時期の患者報告数では、過去5年間で2010年の3人が最も多かったが、それを大きく上回っている。8人のうち6人は予防接種を受けていなかったという。
はしかは、せきやくしゃみによって感染し、10~12日の潜伏期間を経て発症する。高熱や発疹などの症状が出るほか、重症化すると肺炎や脳炎を引き起こす。インフルエンザよりも感染力が強く、免疫がない人が感染すると、ほぼ100%発症するという。
市は、フィリピンなどはしかが流行している地域に渡航予定の人や、予防接種を受けたかどうか分からない人には、予防接種を検討するよう呼びかけている。
日本から麻疹がなくなる日 沖縄県はしかゼロプロジェクト活動の記録/安次嶺馨/知念正雄
長野県佐久市が4月から、小中学生を含めた若年層への保健活動を強化し始めた。減塩で野菜やたんぱく質が豊富な市開発の長寿食「ぴんころ食」を給食に出し、脂質や血糖の値が高い小中学生には、保健師が健康相談を実施することにした。
厚生労働省が昨年発表した2010年の「都道府県別生命表」で男性に続いて女性も長寿日本一となった長野県。全国の市区町村別順位では、佐久市は県内で唯一男女とも上位20位以内に入り、「長寿のまち」としての健在ぶりを示した。
にもかかわらず、市が子どもたちを含む若年層への保健活動を強化するのは、食の欧米化などの影響が健康を損ねているからだ。
市などの10年以降の調査によると、塩分摂取量は、加工食品や外食をとる機会が増えたことで、女性(全世代平均)が国の目標値の1・8倍、男性(同)は1・4倍を記録。血糖値も男女とも県平均を上回った。総コレステロール値が高い脂質異常の小学生の割合は5年で9%から15%に増えた。
このため、小中学校で行っている血液検査に血糖値検査を追加し、早くから生活習慣病の芽を摘む。検査結果に応じて健康相談を実施し、食事など1日の生活を記録する「生活点検票」も配る。ぴんころ食の紹介チラシも保護者向けに作成し、食生活の大切さについて親子で考えてもらう。
このほか、新たな命を育む妊娠期の女性への食育活動にも力を入れるほか、35~39歳の健診の自己負担軽減を図ることにした。
市は1963年、脳卒中の死亡率が日本一で、長寿の街には程遠かった。しかし、吉沢国雄院長率いる市立国保浅間総合病院や市、主婦らでつくる保健補導員会などが一丸となって予防医療に注力。減塩や、不足気味の動物性たんぱく質の摂取を指導するなどした。半世紀に及ぶその積み重ねが寿命を延ばしてきた。
ぴんころ食の推奨などを提言した市の「新しい保健」の検討委員会(委員長=宮地文子佐久大副学長)は、こうした保健補導員を若年層への働きかけに活用することも提案。宮地委員長は「(子どもを含めた)各世代に合わせたきめ細かい戦略が大切だ」としている。
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福島県は8日、会津美里町の食肉加工場から出荷された馬刺し用の生肉を食べた福島、新潟、山形3県の男女計20人が下痢や腹痛などの症状を訴え、このうち男女11人から腸管出血性大腸菌O(オー)157が検出されたと発表した。
発表によると、生肉は食肉処理業「会津畜産」(会津若松市)が3月24日、25日に加工。北海道から広島県まで20都道府県に計約1290キロが出荷されており、同社は6日から自主回収している。
発症者は福島県12人、新潟県5人、山形県3人で年齢は1~91歳。うちO157が検出されたのは福島県6人、発症者のうち3県で11人が入院したが、重症者はおらず全員快方に向かっているという。
同社の宮森大典専務は「安全を第一に考え、回収と製造自粛を決めた。福島県の調査には全面的に協力しており、今後も、検査の結果や状況に応じて最善の対応をしたい」と話した。
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愛知県西尾市は7日、旧一色町が同市との合併前、町内の産業廃棄物処分場跡地で土壌検査を実施した三重県桑名市の産業廃棄物業者と、検査結果について外部に秘密とする契約を結んでいたと発表した。
産廃業者は昨年7月、新たな産業廃棄物最終処分場をこの土地に建設する計画を市に提案しているが、市は県と連携し、独自の地質調査を実施する方針だ。
発表によると、この土地は1980年代~2000年代に処分場として使われたが、県が当時の業者の事業許可を取り消し、放置されていた。桑名市の産廃業者がこの土地を含めて買収を進め、旧一色町が西尾市と合併する直前の2011年3月、業者が検査を実施。業者の提出資料では、14か所で調査を行い、鉛はサンプル全体の4割近くで埋め立て基準を超えたとしているほか、ヒ素、六価クロムや、埋め立てが禁止されているトルエンなども検出したとされる。
秘密保持の契約は合併前日の同月31日に結ばれたが、市は今年2月まで知らなかったとし、榊原康正市長は「突然知らされて困惑した」と述べた。
一方、当時の一色町長の都築譲氏は「合併直前の時期に契約した記憶はない」と語った。産廃業者は「周辺に風評被害が出ないように秘密としたもので、新たな処分場計画は当時はまだなかった」と話している。
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死亡率14年連続全国1位
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江口センター長が開発した教材
肝がんによる人口10万人あたりの年間死亡率で、佐賀県は14年連続で全国1位という不名誉な状態が続いている。
毎年約300~400人が肝がんで命を落としており、死亡率を下げるため、県や医療機関に加え、県民有志が自治会単位で肝炎ウイルス検査を呼びかける活動に乗り出すなど、官民を挙げて対策に力を入れている。
◆自治会単位で予防・治療法学ぶ
佐賀市大和町梅野の内藤紀行さん(72)は、1987年頃、風邪を引いたときに受けた検査で、C型肝炎ウイルスに感染していることを知った。当時は40歳代の働き盛りで忙しく、自覚症状もないため、治療をせずに放置した。
それから12年後、精密検査で肝臓に小さながんが見つかった。肝臓の一部を摘出する手術で事なきを得たが、再発を防ぐため、それ以降、約3か月に1度の検査を続けている。内藤さんは「もっと早く治療をしていれば……」と悔やむ。
地元は人口約1000人の小さな集落だが、肝がんで亡くなったり、肝がん・肝炎の治療を受けたりしている人は知っているだけでも、数十人に上る。
「集落の中で、肝がんで亡くなる人を一人でも減らしたい」との思いを強くした内藤さんの呼びかけで、昨年9月、自治会主催の「肝臓フォーラム」が地元小学校の体育館で開かれ、約300人が集まった。佐賀大医学部教授で肝疾患センターのセンター長を務める江口有一郎医師が肝がんの発症や治療、予防について講演した後、江口医師と参加者の意見交換会も開かれた。県によると、肝がん撲滅に向けた住民の自発的な活動は県内初だという。
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これを契機に、自治会内で「県の無料肝炎ウイルス検査を受けてみよう」という声が高まり、住民が隣近所に検査を勧める、草の根的な活動が始まった。
内藤さんは「がんへの意識を高める活動をさらに続けていきたい」と話す。
そもそも、なぜ、県内で肝がんの死亡率が高いのか――。県健康増進課によると、全国の肝がん死亡者の約8割がC型肝炎ウイルス感染者と推計されるが、県内のC型への感染率は全国平均の約3倍という。
江口センター長は「1920~40年代に佐賀と福岡の県境を流れる筑後川流域で流行した『日本住血吸虫症』の治療の際、十分な消毒がされていない注射器で回し打ちが行われたという見方が一般的」と説明する。ウイルスは、輸血や妊婦からの母子感染などによって広がり、高齢化すると発症しやすくなるため、高い死亡率につながっているとみている。
ウイルス感染だけでは無症状のため、内藤さんのように放置するケースが多く、症状が出た頃には肝がんや重度の肝硬変になっていることもある。
佐賀大の肝疾患センターでは昨年7月、ウイルスの感染経路や感染発覚後の対処の重要性について親子で学べるすごろくなどの教材を開発。県もウイルス感染の有無を調べる無料検査を続けており、感染者に効くという「インターフェロン」の投与にも2008年度から助成を始めている。これまで健康保険を使っても月約8万円かかっていた治療費が、助成で2万円以下に軽減された。
江口センター長は「肝炎ウイルスに感染していても治療をすれば菌を体内からなくすことは可能。まずは検査を受けて自分の肝臓の状態を知ることが重要」と呼びかけている。
◆がん闘病の悩み 相談員養成
肝がんだけでなく、全てのがんによる年間死亡率についても県は全国12位と高い。このため、がん予防の活動を行うNPO法人クレブスサポート(佐賀市)が昨年、がんの闘病体験を生かして患者やその家族が抱える悩みの相談に応えるピアサポーターの養成事業を始めた。
昨年9~11月、佐賀大医学部の医師らを招いて、患者から相談を受ける際の注意点や心理ケアに関する基礎知識について学ぶ講座が3日間あり、18人のピアサポーターが誕生した。
同法人は、今年6月から月に1度、佐賀市中心部で数人のピアサポーターが常駐するサロンを開き、がん患者らが気軽に生活や悩みを相談できる場をつくる予定。2015年までにサポーターを100人ほど養成し、サロンを拠点に相談の場を増やしていく方針だ。
胃がんを経験した同法人の鶴田憲司事務局長(72)は「病院にも相談窓口はあるが、敷居の高さを感じている人が多い。今は、地域ががん患者と家族を支えなければいけない時代。ピアサポーターの役割が重要となる」と話した。
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