大学生の食生活を改善しようとする取り組みが県内でも始まっている。「スイカ」などのICカード乗車券を使って栄養管理が可能なシステムを学食で導入したり、授業開始前から朝食を提供したり。背景には、一人暮らしなどで食生活の乱れが指摘されていることがある。
「いかにして安く食事を済ませられるか考えています」と話すのは千葉大(千葉市)文学部2年生の小黒萌華さん(19)。
千葉大学生協の調査では、千葉大の学食での1人あたりの平均利用金額は380円、学食を利用せずに生協店舗でパンやおにぎりなどを購入する学生は300円以下。また、同生協の行っている食生活相談会でも「夜遅くまでバイトのため朝食は食べない」「野菜はほとんど食べない」などの声があがっている。
小黒さんも朝食はパン、夕食はアルバイト先のまかないで済ませることが多く、「一人暮らしだと実家と違って色々な野菜をとるのが難しい」と話す。
こうしたことから、同生協では昨年度、利用者が登録し、コンビニなどで入金するとスイカなどのICカード乗車券に学食で使えるポイント(1ポイント=1円)がたまる「学食パス」を導入。保護者が仕送りとして入金することで、学生は支払いなしで食事がとれる。保護者にとっては、専用ページから利用日や金額のほか、食事内容、摂取栄養価もわかるメリットがある。
「昼食は、パスを使っていない友達よりも多く食べているかな」と小黒さん。パス利用者の1日の利用金額は、未利用者に比べ25円高いという。現在の登録者は約160人で、同大生協の秋元誠司専務理事は「多くの学生や保護者に活用してもらいたい」と話す。
一方、朝食を食べない大学生もいる。内閣府が大学生を対象に行った調査(2009年)では、朝食を「ほとんど食べない」が13・3%に上り、理由(複数回答)は、「もっと寝ていたいから」(60・5%)や「面倒だから」(32・1%)のほか、「お金がもったいないから」(5・7%)もあった。また、自宅生よりも下宿生の方が朝食を食べない割合が高かった。
城西国際大(東金市)では約10年前から学食で、授業の始まる前の午前9時から麺類や丼ものなど10種類弱を提供。価格帯も300~400円で、授業前に生徒20~30人が利用するという。同大は「朝食をとることで授業への集中力も高まる。朝食をとってから授業を受けてもらいたい」としている。
千葉大でも午前9時半から始まる学食で、朝食を164円で提供するなど、学生が手軽に利用できる工夫をしている。