財テクの損失は前任社長の時代に発生したが、菊川氏が手がけた情報関連会社「ITX」の買収で、21年3月期決算では約400億円の損失処理を迫られている。菊川社長時代のM&Aも、損失の穴埋めの対象となった可能性もあり、第三者委員会の調査対象となる見通しだ。
高山社長は「(1990年代の)急速な円高で業績悪化に苦しんだ時期、多くの日本企業が財テクに走った。そのころから(損失隠しが)あった」としている。バブル崩壊後、多くの企業が、こうした損失を別会社や別の金融商品に付け替えて損失を隠す“飛ばし”に手を染めた。株式市場では疑惑が表面化した当初から、オリンパスも「飛ばし」が噂されてきた。
株式市場関係者は「他の多くの企業は、どこかの段階で損失を表に出し、処理を行ってきた。ここまで隠し続けてきた理由が分からない」(大手証券アナリスト)と、オリンパスの“異常さ”を指摘する。
ただ、欧米では英国人のウッドフォード元社長が解任され、海外メディアに疑惑を告発したこともあり、日本企業全体の体質として批判する声が強まっている。
日本の信用を回復するためにも、第三者委員会や捜査当局による真相解明が急務だ。