三者委の調査や関係者の話などによると、同社は昭和60年以降、財テクに奔走。経理部に在籍していた山田秀雄前監査役(66)と森久志前副社長(54)が主に金融資産の運用に携わったが、バブル崩壊で含み損が膨らんだ。
平成12年4月の時価会計導入を控えた10年、2人は含み損を抱えた金融資産を簿外に移す必要があると判断。大手証券OBらの協力を得て海外のファンドに飛ばし、菊川前会長ら歴代3社長に定期報告した。
山田氏、森氏はその後、国内外4社の買収を利用した損失穴埋めでも中心的な役割を果たしていたとされる。“汚れ仕事”を一手に引き受け、出世の階段を駆け上がった2人だが、三者委の調査に「苦しかった」と心情を吐露したという。
過去の“恥部”をひた隠し続けた旧経営陣。今月6日に公表された三者委の報告書には、厳しい表現が刻まれた。「経営の中心部分が腐っており、その周辺部分も汚染されていた」「悪い意味でのサラリーマン根性の集大成」…。
作家で経済ジャーナリストの相場英雄さんは「オリンパスの不正経理は、日本企業が受けたバブル期の傷がいまだ癒えていないことを示している」とした上で、「こうした負の遺産を抱えた企業はオリンパス1社とはかぎらない。投資の世界では早くも、同様の怪しげな買収をしている企業がないかどうかを探す動きが出ている」と指摘している。