突然の「外国人社長解任」騒動から2カ月余り。オリンパスの損失隠し疑惑に21日、本格捜査のメスが入った。東京地検特捜部などが金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で、関係先の家宅捜索に着手した。損失を簿外に移す「飛ばし」に手を染め、隠蔽し続けた世界的光学機器メーカーの旧経営陣。そうした体質は、同社の第三者委員会に「サラリーマン根性の集大成」などと指弾された。バブル経済の負の遺産を先送りにしたツケは、刑事事件化という形ではね返った。
10月14日に開かれたオリンパスの臨時取締役会。かねてから不透明なカネの流れについて問いただしていた社長のマイケル・ウッドフォード氏(51)の解職動議が、突然諮られた。ウッドフォード氏を除く全員が手を挙げ、解職はあっさりと決まった。
「独断専行で組織の意思決定を進めた。文化の壁を越えられなかった」
当時の菊川剛会長(70)は同日の記者会見で、解任の理由についてそう語った。だが、ウッドフォード氏がメディアや国内外の捜査機関に疑惑を告発することで、国際社会の疑念は膨らんだ。結果的に同社は三者委への調査委嘱を余儀なくされ、損失隠しなどの一連の不正が明るみに出た。