食品大手マルハニチロホールディングスの子会社「アクリフーズ」群馬工場(群馬県大泉町)で製造した冷凍食品から農薬「マラチオン」が検出された問題で、混入が確認された冷凍コロッケ「チーズがのび~るグラタンコロ!」の衣部分から、国が定めた残留農薬基準値の260万倍となる2万6千ppmのマラチオンが検出されていたことが6日、群馬県関係者への取材で分かった。アクリ社は同コロッケから検出された濃度はこの数値の半分以下と公表していたが、今回の数値について事実関係を認めている。
■県調査、加工後混入か
同社によると、マラチオンは7商品9個から検出された。これまで公表した最高値は「とろーりコーンクリームコロッケ」の1万5千ppmで、基準値の150万倍だった。
関係者によると、県の立ち入り調査で得たデータでは、「チーズがのび~るグラタンコロ!」の衣部分の濃度は2万6千ppm、衣に包まれた中身は4千ppmだったことが新たに判明した。
このコロッケの検出濃度は今回の半分以下の「1万2734ppm」と公表されていた。
同社は6日、今回の数値について「確認している」としている。衣と中身の重さの違いなどを勘案し、商品全体の“平均値”を出したとみられる。
混入の過程をめぐっては7商品が別の製造ラインで加工され、包装袋に穴などが空けられた痕跡もないことなどから、商品が1カ所に集められた包装段階で混入した可能性が指摘されている。
今回、同じ商品の衣と中身で濃度が極端に異なることから、加工後の食品を包装する段階で、表面から農薬を散布するなどして混入された可能性が強まった。
愛媛大の立川涼名誉教授(環境化学)によると、実際には衣だけを食べるわけではないため、子供が8分の1個を食べただけで健康被害が出る基準値の150万倍のケースと比べて危険性が特段、高まったわけではないという。
東京都の猪瀬直樹前知事(67)=辞職=が医療法人「徳洲会」から5000万円を受領した問題で、東京地検特捜部は7日、市民団体が提出していた猪瀬氏に対する公選法違反容疑などの告発状を受理した。今後、関係者への聴取を行うほか、資料を押収して分析を進めるなど捜査を本格化させる。
告発状によると、猪瀬氏は2012年11月、徳田毅衆院議員(42)を通じて徳田虎雄前理事長(75)から選挙資金として5000万円を受け取ったのに、出納責任者に伝えず、都知事選の収支報告書に記載しなかった同法違反の疑いがある。また、一個人から受け取れる寄付金の上限を150万円と定めた政治資金規正法にも違反するとしている。
特捜部はこれまで、都政への影響を考慮し、都議会による責任追及を見守るにとどめていた。
告発した市民団体「政治資金オンブズマン」(大阪市)の上脇博之神戸学院大教授は「(猪瀬氏は)説明を二転三転させており、このままでは真相がうやむやになる」と話している。
◇伊勢神宮参拝後に記者会見
安倍晋三首相は6日、三重県伊勢市の伊勢神宮を参拝後、同神宮内で記者会見した。昨年末の首相の靖国神社参拝によって中国、韓国との首脳会談開催が遠のいたことについて、首相は「困難な課題や問題があるからこそ、前提条件を付けずに首脳同士が胸襟を開いて話をすべきだ。(参拝時の)談話で示した私の真意をぜひ直接、誠意を持って説明したい」と表明。靖国参拝を首脳会談の障害にすべきではないとの認識を示した。
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韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は6日の記者会見で「事前に十分な準備をすべきだ」と述べており、会談を巡る両首脳の主張には隔たりがある。首相は会見で「現時点で見通しがあるわけではない」とも述べた。
一方、首相は「日本経済は1年前の危機的状況から脱し、順調に回復軌道を歩んでいる」と強調。「この春こそ景気回復の実感を収入アップという形で国民に届けたい。このことが消費の拡大を通じて、さらなる景気回復につながる」と述べ、消費増税対策を盛り込んだ2013年度補正予算案や14年度予算案を審議する次期通常国会を「好循環実現国会」と位置付けた。政府の成長戦略を今年半ばに改定し、雇用、農業、医療分野などの構造改革を進める方針も示した。
また、首相は原発の新増設について「現在のところまったく想定していない」と明言。原子力規制委員会の安全審査が行われていることを踏まえ、「厳格な新安全基準を乗り越えた原発について、再稼働を判断していく」と述べ、再稼働に重ねて前向きな姿勢を示した。