広島県・阿多田島沖の瀬戸内海で、海上自衛隊の輸送艦「おおすみ」と釣り船が衝突した事故で、釣り船に乗っていた4人は、いずれも救命胴衣を着けていなかったことが15日、第6管区海上保安本部への取材で分かった。
同本部は業務上過失往来危険容疑で関係者から事情を聴き、衝突直前の両船の位置関係などを調べている。
おおすみは同日午前8時ごろ、阿多田島の東方沖で釣り船と衝突。釣り船が転覆し、船長で自営業高森昶さん(67)と客の無職大竹宏治さん(66)が意識不明の重体になった。他2人は救助されて無事だったが、海に投げ出された際、4人は救命胴衣を着けていなかったという。同本部は今後、釣り船に胴衣が装備されていたかどうかも調べる。
おおすみは定期修理のために岡山県の造船所に向かう途中で、午前6時半ごろ海自呉基地(広島県呉市)を出港し、事故当時は阿多田島の東方沖を南下していた。釣り船はおおすみの左側を同じ方向に進んでいたとみられ、おおすみ左舷中央部分には、釣り船の塗料のようなものが付いた衝突痕があった。釣り船の先端にも衝突痕が確認された。
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【AFP=時事】政府軍と反乱軍の戦闘が続く南スーダンで14日、避難民を乗せて白ナイル(White Nile)川を渡ろうとしたフェリーが沈没し、少なくとも200人が死亡した。
政府軍のフィリップ・オージェ(Philip Aguer)報道官によると、石油産地として知られる上ナイル(Upper Nile)州の州都マラカル(Malakal)で戦闘が再燃し、避難するためにフェリーに乗っていた女性や子供を含む200~300人が水死した。フェリーは定員を超過していた。
マラカルでは反乱軍が市街を制圧するために新たな攻撃を開始し、激しい戦闘が報告されている。衝突が勃発した12月15日以来、マラカルは2度、両軍による制圧と奪還が繰り返されている。
国連南スーダン派遣団(UNMISS)事務総長特別副代表のトビー・ランザー(Toby Lanzer)氏も、マラカル周辺で新たな戦闘が始まったことを確認している。そのため、UNMISSの拠点に避難場所を求めて押し寄せる人は、1万人から1万9000人へと約2倍に膨れ上がっているという。
政府軍によれば、反乱軍が大半を制圧している東部ジョングレイ(Jonglei)州の州都ボル(Bor)でも激しい戦闘が起きているという。また反乱軍は、ボルと南スーダンの首都ジュバ(Juba)の間に位置する白ナイル川流域の河港都市モンガラ(Mongalla)を制圧したと発表しているが、政府軍はこれを否定している。
デフレ時代を養分に売り場に咲いた白い花、プライベートブランド(PB)。だが、コストカット追求の先に、安全性がこぼれ落ちたりはしないのか。PB商品を展開する企業に話を聞いた。
PB売り上げトップのイオンは今年1月、傘下の研究開発機関である「生活品質科学研究所」が千葉市美浜区の本社近くに「中央研究所」を設立し、本社との連携を強化した。約220人の社員をおき、新商品開発のほか、最低年1回はメーカーから出荷前の商品を送ってもらい、イオン独自の規格基準に合っているかを検査する。
2008年、国産小豆商品に中国産が混ぜられイオンのPB商品などに使われていた事故では、「初回生産時のサンプリング調査と、その後の抜きとり調査では問題なかった」という。そこで検査同様に重視しているのが「工場監査」だ。ISO22000の審査員と同等の力量を持つ「審査員補」の資格を有する社員を数十人抱え、ISOに国際的な衛生管理基準であるHACCPを組み合わせた独自の「工場評価基準」に基づき、年1回309項目のチェックポイントを検査する。
他の小売団体でも、チェックポイントを明確化した監査システムをメーカーや外部団体などの協力で作り、安全性を確保する取り組みが進んでいる。約3800店舗のスーパーが構成する共同仕入れ組織「CGC」では、農林水産省が作ったものに作業員の手洗い時間、工場の照度などを具体的数値で示した独自の項目を加えた「工場チェックリスト」を公開。メーカーに自主的な課題改善を促す。
PBに力を入れるセブン&アイHDは一つの商品について原材料の土壌調査情報などから工程表、商品の検査に至るまで数十ページにおよぶ「原料確認書」を作り、それにのっとって様々な情報を確認、把握している。担当者は「うちくらい食品の品質管理について徹底しているところはないのでは」と自負する。
PB市場の成長は、安全性確保についてのレベルアップをもたらしている──小売りとメーカー側の認識は一致する。
一方でPBにまつわる最大の懸念は、商品開発に携わるメーカーの疲弊かもしれない。あるメーカーは「こちらがPBを受注するのは、流通業者と密接な関係になり、ナショナルブランドの受注率をあげてもらいたいなどの思惑もある。売り上げの点では、大手小売りを除くと製造ロットに見合わないことも多々ある」と語る。また別のメーカーは、さらに率直な悩みを口にする。
「メーカー側の努力にも物理的に限界があるうえ、流通側のリクエストは厳しく、商品の安全基準のハードルはどんどん上がり、とても厳しい状況。消費者はそういうことを全く知らず、ささいな不備でもクレームがある。正直、『無体なこと』をさせられていると感じますよ」
グループ総売り上げ9兆円を叩きだす、セブン&アイ・ホールディングスのカリスマ経営者・鈴木敏文会長。これまでプライベートブランドであるセブンプレミアムや、米国セブンの経営再建など、常に周囲の反対を押し切って成功してきた。
そんな彼が、最も「無茶だ」「失敗する」と周囲から強く反対されたのは、2001年のセブン銀行設立のときのようだ。鈴木もこう記憶している。
「周囲は皆、素人が銀行をやってもうまくいくはずないという見方でした。メインバンクの頭取さんが私のところへ来られて、『やめたほうがいい。あなたが失敗するところを見たくない』とおっしゃったくらいです」
それでもやろうと決断した理由は何か。鈴木はこう話す。
「銀行は、土日は休みだし、午後3時に閉まってしまう。私は、家計は妻任せですが、素人目に見ると、近所のコンビニで夜中でも日曜でもお金が下ろせたら、お客様にとって便利だろう、と当たり前のことを思っただけです」
しかし「あったら便利」はコンビニでは重要だろうが、銀行にとっては無関係に思える。それに、銀行業をやるには免許が必要だ。誰が考えたって、無理な話だった。
勝算はあった。
「80年代後半から電気やガス料金の収納代行をスタートさせていましたが、取扱件数や金額が年々伸びていました」
つまり、店内でお金を下ろす顧客ニーズを察知していたのだ。
ただ、そうはいっても金融筋には簡単には理解してもらえない。わずかにATM設置に賛同してくれる銀行があり、共同で銀行設立プロジェクトチームを組んだが、交渉に出向くメンバーは皆、沈んだ様子で帰ってくる。
その姿に鈴木は、「失敗してもいいじゃないか、失敗も勉強のうちだよ」と声をかけた。「責任はトップがとればいい」と内心思っていた。
風向きが変わったのは、新設銀行のトップが決まってからだ。数人候補がいたが、元日本銀行理事で、一時国有化された旧日本長期信用銀行の頭取として幕引きを果たした安斎隆と面会し、鈴木は「直感的に決めた」。福島弁が残る気さくな口調に裏表のない人柄が出ていた。
「あなたに決めました。引き受けてもらわなければ困ります」と、即答を求めた。
こうして組織の姿が見えてきたことで、チームに活気が出た。流通畑、金融畑、それぞれの専門知識を生かして監督官庁との折衝や、提携金融機関の確保などの課題を克服していく。
ついに01年、銀行免許の予備審査終了書を受けた。小売業初の銀行が設立されたのである。収益は利用者が店内のATMを使い、口座を持つ金融機関からお金を引き出すときの手数料を柱にし、基本的に融資などは行わないナローバンク。おサイフケータイならぬ、おサイフ口座とした。
「これまでの銀行がハイヤーなら、我々はどこでも乗り降りできる乗り合いバスを作ろう」
そんな鈴木の明確な方針が奏功した。セブン-イレブンでお金が下ろせる、という認知度が急速に高まり、利用者は激増していった。(文中敬称略)