大王製紙前会長の特別背任事件で、東京地検特捜部は22日、子会社から計23億3千万円を振り込ませて損害を与えたとして、会社法違反(特別背任)罪で、前会長、井川意高容疑者(47)を追起訴した。特捜部によると、井川被告による子会社などからの借り入れ総額は165億円に達することが判明した。
起訴状によると、井川被告は今年3~9月、自身が代表取締役会長を務めていたエリエールペーパーテック(栃木県さくら市)など連結子会社3社から、取締役会の承認決議や担保がないまま、8回に分けて計23億3千万円を自身の口座に振り込ませ、3社に損害を与えたとしている。
大王製紙の特別調査委員会は、井川被告が連結子会社7社に指示して計106億8千万円を振り込ませていたと明らかにしている。その後の特捜部の調べで、井川被告はこれ以外にも複数の非連結関連会社や銀行などから融資を受け、借入総額は約165億円に達したことが分かった。
井川被告は別の子会社4社からも約32億円を借り受けて損害を与えたとして、12月13日に同罪で起訴されている。追起訴分と合わせて起訴された借り入れ額は計約55億円となった。