バフェット氏が経営する米投資会社バークシャー・ハザウェイでは「番犬」の置かれた状況は180度異なる。
同氏保有分を除くと、10年度に同社取締役11人は家族保有分も含め全員で30億ドル、1ドル=80円換算で2400億円の自社株を保有している。1人当たり200億円以上だ。一方、10人の社外取締役は1人当たり平均で3630ドル、1ドル=80円換算で30万円弱の報酬を得ているにすぎない。交通費を賄える程度の金額だ。
バフェット氏はバークシャー株主向けに書く2010年度版「会長の手紙」の中で、「当社取締役はオーナー(株主)のように考え、行動します。経営悪化を招いたら、一般株主と同様に損する仕組みになっているからです」と書いている。
他方、社外取締役は一般株主よりも経営陣に気に入ってもらえるように行動する-。これがオリンパスのガバナンス構造である。深刻なのは「番犬」よりも「ポチ」が主流のガバナンス構造は、日本企業全体にも見受けられる点だ。バフェット氏がこれまで日本企業に見向きもしなかったのもうなずける。(ジャーナリスト・牧野洋)