エアバス、ロールス・ロイス、タレスなどが出資する民間企業で、イギリス空軍にA330 MRTTボイジャーなどを供給するエア・タンカーは、2015年2月5日、同社で初めて「民間機」を受領したと発表しました。エアバス・ミリタリのスペインのヘタフェ工場から、イギリスのブライズ・ノートン空軍基地に到着したものです。
ボイジャーはイギリス空軍が将来戦略輸送機計画で選定したA330MRTTで、すでにブライズ・ノートン空軍基地で運用されています。今回の機体記号(レジ)「G-VYGK」は、商業飛行向けに3カ月をかけて改修が実施されます。
改修により、A330-200旅客機タイプに変更され、「G-VYGK」として2015年5月から、トーマスクック・エアラインズの長距離路線に投入される計画です。エア・タンカーが公開したデリバリー時の画像は、白塗装の機体にトーマスクック塗装のエンジンナセルが使用されており、上記の経緯が想像される証拠写真となっています。
A330 MRTTは基本型で111トンの燃料を搭載できるA330-200を改造しており、300人の兵員や130床の担架、45トンのペイロードを輸送することができます。空中給油装置は両翼のドローグポッドに加え、胴体後部にフライングブーム、またはドローグ装置を選択できます。こうした一連の軍用機向けの装備を改修し、客室の改修を行い、320席仕様、シートには機内エンターテインメント設備を装備します。
エア・タンカーは、イギリス空軍に将来戦略輸送機計画でA330 MRTTを14機供給する契約を締結しています。今回の1機はそのうちの1機でありますが、契約にはイギリス空軍が必要としない場合、A330 MRTTをエア・タンカーがリースできる契約を含んでいます。このため、2014年の予算で確保する機材をエア・タンカーが受領し、軍用機から民間機へ用途変更します。
なお、エア・タンカーはイギリス空軍向けに引き続きA330 MRTTの5機を受領し、供給する計画です。