野良生活から一転、“億万長猫”になった猫がイタリアで話題になっている。4歳になる黒猫「トマシーノ」が飼い主である老婦人から相続した遺産は、なんと1000万ユーロ(約10億円)相当だとか。
伊地元紙「イル・メッサジェーロ」をはじめとするメディア各紙によると、トマシーノの飼い主、マリア・アスンタさんが94歳で亡くなったのは先月末のこと。すでに亡くなっているご主人との間に子供がいなかったアスンタさんは生前、愛猫トマシーノにすべての財産を譲る旨を記した遺言状を残していた。
北はミラノから南はカラブリアまで、アスンタさんがイタリア各地に所有する別荘や土地などの資産は、合計すると前述のとおり、1000万ユーロにのぼるという。
とはいえ、イタリアの法律ではペットに直接遺産相続させることはできない。そこで、アスンタさんは弁護士を通じ、トマシーノの後見人となってくれる愛護団体などを探し、自身亡き後のトマシーノの世話と遺産管理を託すことにしたのだが、このたび「ステファニー」と名乗る女性がその後見人に選出された。
そもそもは、ステファニーさんがアスンタさんの家を訪れてはお互いの愛猫を遊ばせる“猫友”の間柄だったというふたり。アスンタさんの具合が悪くなってからは、ステファニーさんが看護師だったこともあり、亡くなるまで身の回りの世話も行ってきたという。
公園で知り合い仲良くなったというステファニーさんとアスンタさんだが、驚いたことに、ステファニーさんは「彼女が億万長者だなんて、亡くなるまでまったく知らなかった」と語っている。
現在トマシーノは、ステファニーさんと彼女の愛猫たちとともに、ローマの郊外で静かに暮らしている(場所の詳細は彼らの身の安全のために明かされていない)。黒猫はとかく不吉なイメージで語られがちだが、彼を見ればそんなものは意味のない迷信だとわかるニュースだ。