「ついに来たか」。オリンパスの損失隠し事件で、東京地検特捜部などは21日午前11時半すぎから、関係先の一斉捜索に着手した。同社本社などには一様に険しい表情の東京地検係官や警視庁捜査員らが次々と入った。年の瀬間際の着手となった巨額の不正経理。寒風のオフィス街は異様な雰囲気に包まれた。
オリンパス本社が入居する東京都新宿区の30階建てオフィスビルには、午前11時40分ごろ、東京地検の係官らが入った。
ビル前には早朝から報道陣80人以上が待機したが、係官らはカメラを避けるように地下2階の業務用出入り口から本社内に入った。
オリンパス関連会社に勤務する男性は「ついに捜索の日が来たかという思いだ。一刻も早く事件が解決してほしい」と言葉少なに話した。
損失穴埋めに買収資金が利用された国内3社が入居する東京都港区の雑居ビルには約30人が入った。捜査員が到着すると、カメラのシャッターが切られ、ものものしい雰囲気に。オリンパスをめぐる家宅捜索と聞いた通行人の会社員男性は「ここに事件に関係する会社があるとは知らなかった」と驚いた様子だった。
川崎市の菊川剛前会長(70)のマンションにも捜索が入った。通勤や通学のためマンションから出てきた住民らは驚いた様子で、「何があったのか」と報道陣に質問する姿も目立った。